未来志向の学びと新しい教育への挑戦
~探究的な学習から見る生徒主体の学びの研究~
少子高齢化やグローバル化など社会の変化を踏まえ、未来志向の教育として生徒主体の探究的な学びが重視されています。課題発見から表現までのプロセスを通して主体性や思考力を育て、日々の授業においても知識の習得にとどまらず、それをどう活用するかを育むことが求められます。第30回の附属校サミットでは、探究的な学習の実践を中心に、生徒のリフレクションを授業改善にどう生かすか、また評価の在り方についても検討しました。
Day12025.11.21
会場校である立命館中学校・高等学校の東谷保裕校長より、「本サミットが実りある学びと交流の場となるように」との挨拶があり、第30回附属校サミットが開会しました。続いて、立命館中学校・高等学校が掲げる教育ミッションや課題研究の特色について説明があり、あわせて今年度のサミットのテーマについても解説が行われました。
授業づくりや指導法、生徒の学びを深めるためのヒントを共有し、互いの学びを高め合う場とするために公開授業を実施しました。実際の授業を見ることで、教員としての働きかけや授業の組み立て方、生徒の学ぶ姿を具体的に感じ取ることができます。他校の先生方の授業に触れることは、自校では気づきにくい視点や新しい発想を得るきっかけにもなります。
グループワークや一斉授業など、授業形式に応じて教室内を巡回したり、全体が見渡せる位置から観察したりします。
まるで自分も授業に参加しているような感覚で、授業の様子をつぶさに捉えます。







公開授業一覧
| 教科 | 授業担当者 | 学年 |
|---|---|---|
| 国語科 | 小山 百恵/樫本 由紀 | 高校1・2年 |
| 社会科:地理 | 𠮷田 達朗 | 高校2年 |
| 数学科 | 鷲見 秋彦 | 中学1年 |
| 理科:化学 | 和田 篤史 | 高校3年 |
| 保健体育科 | 田中 孝明 | 高校3年 |
| 情報科 | 柳田 泰佑 | 高校1年 |
| 外国語科:英語 | 鈴木 佑弥/Dixon | 中学3年 |

情報科〈高校1年〉

理科:化学〈高校3年〉

数学科〈中学1年〉
より良い授業づくりを目指して授業そのものを見直し、学びを深めるために研究授業を行いました。授業の流れや先生の声かけ、生徒の反応などをじっくり観察することで、「どの場面で生徒の学びが深まっているか」「どんな工夫が効果的か」を具体的に捉えます。“研究の視点をもった授業”だからこそ、後の合評会での議論も深まり、各校の実践に生かせる具体的な示唆が生まれていきます。








公開授業一覧
| 教科 | 授業担当者 | 学年 |
|---|---|---|
| 国語科 | 鬼塚 誠太郎 | 中学2年 |
| 国語科 | 太田 知佳 | 高校3年 |
| 数学科 | 原澤 研二 | 中学2年 |
| 数学科 | 廣松 光一郎 | 高校2年 |
| 理科:物理 | 鍵山 千尋 | 高校2年 |
| 芸術科:美術 | 米永 忠裕 | 中学3年 |
| 技術家庭科:家庭 | 糸井 駿平 | 高校2年 |
| 外国語科:英語 | 松尾 由紀/Reynolds | 中学3年 |
| 外国語科:英語 | 武田 菜々子 | 高校3年 |
| 課題研究科 | 長野 博樹/折田 浩一 | 中学2年 |

芸術科:美術〈中学3年〉

国語科〈中学2年〉

技術家庭科:家庭〈高校2年〉
中学2年生の生徒たちが、チームで1から考えた「オリジナル便利グッズ」を発表しました。
工夫ポイント、商品の説明、制作した感想など、活き活きと自分たちの言葉で表現することができました。
昼食休憩では、他校の先生方が同じテーブルで食事をする様子も見られるなど、交流のきっかけとなりました。途中には、立命館中学校の生徒による“コーヒーを通した支援活動”の報告があり、実際にコーヒーを味わう機会も提供されました。
実施連盟の会長である長屋頼子氏から、「私立学校同士が手を取り合い、ワクワクする気持ちを大切に、それぞれの学校で頑張っていこう」という力強い挨拶がありました。先行きの不透明な時代だからこそ、新しいことに挑戦し続ける姿勢が教育を前へ進める力になることを示されました。続いて行われた立命館高等学校の生徒らによる見応えのある課題研究発表を、会場全体が真剣に、温かく見守りました。

Generation and Generalization of the Complex Fibonacci Sequence

The Psychology of Eco-terrorism: A Case Study of Art Attacks

Efficient Method of Yeast Fermentation ~Producing Bio-ethanol~
研究授業で見えた生徒の様子や授業者の工夫について、参加した教員全員で意見を出し合います。ひとつの授業をさまざまな視点から振り返ることで、新たな気づきが生まれ、今後の授業改善や実践につながる具体的なヒントを得ることができます。教員たちの教育に対する熱意が場を活気づけ、授業力の向上や教育実践の質の向上を目指す重要な機会となっています。



実際にこんな意見が出ました。
- 生徒の興味の引き方やメリハリ、切り替えのタイミングが非常に参考になった
- 欠席した生徒が授業を理解するためにどのような工夫をしているのか?
- 統計の分野ということで、情報の授業との連携はどのようにしているか?
- 授業を行う中で、生徒に学びの有用感を実感させるためにはどのような工夫ができるか?
- 工夫された授業スライドを使用されているが、教科書はどのように活用しているのか?

学校法人立命館 立命館大学学長特別補佐
立命館大学総合科学技術研究機構招聘研究教員(教授)
立命館大学宇宙地球探査研究センター(ESEC)研究顧問
野口 聡一 氏
野口氏より、宇宙飛行士としてのご自身の経験や大切にしている言葉を交えながら、チームにおけるリーダーの役割や、フォロワーとして大切な姿勢、望ましいチーム環境づくりについてお話しいただきました。宇宙ミッションの現場で求められるコミュニケーションや協働の姿勢は、教育・学校現場においても共通すると語られ、自由に意見を発信できる雰囲気の重要性や、異なる良さを持つ人々が集まる集団の価値が示されました。ご自身の幼少期を振り返りながら、子どもが真剣に挑戦しようとしているときに、大人がその背中を押してあげることの大切さ、そして多様な出会いが子どもたちの未来を広げていくことが語られ、貴重な示唆に富んだ内容でした。
懇親会では、1日を通して考えたことや感じたこと、学んだことなどを、参加者一人ひとりが熱意をもって語り合いました。昼間の公開授業や研究授業、合評会とは異なる、和やかで自由な雰囲気の中で意見交換が行われました。率直に話し合うことで、互いの考えや強い思いを惜しみなく共有できる、特別な時間となりました。
Day22025.11.22
東京科学大学 執行役副学長
白井 俊 氏
まず、諸外国の教育動向として、フィンランドやシンガポールの教育の特徴やPISAスコアの変遷が紹介され、それらを比較する形で講演が始まりました。そのうえで、「探究」とは何かを多角的に考え直し、日本において重要視される「主体性」の意味についても改めて確認しました。主体性には段階があり、子どもたちの成長段階に応じた適切な使い分けが大切であることを理解する貴重な学びとなりました。
さらに、カリキュラムに盛り込む内容が過剰になってしまう「カリキュラム・オーバーロード」の原因と背景について、学習内容を重視する「コンテンツ主義」と、学習を通して身についた能力を重視する「コンピテンシー主義」の2つの観点から整理しました。そして、これからの教育では、単なる知識(コンテンツ)を活用できる力(コンピテンシー)へと昇華させることの重要性が強調されました。

分科会では、授業実践だけでなく、学校広報やスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の取り組み、グローバル教育、探究学習など、幅広いテーマについて講師が解説しました。参加者は、自身の関心のあるテーマの分科会に参加し、講義を聴きながら活発に意見交換を行い、それぞれの学校で役立てられる学びを持ち帰ることができました。
A.これからの時代を勝ち抜く学校
近畿大学入学センター高大連携課参事
屋木 清孝 氏
時代の変化に対応し、これからの時代を勝ち抜く学校をめざすため、入試制度や教職員の自己研鑽に加え、生徒獲得に向けた広報の工夫や具体的な実践例など、多くの知識や方法が共有されました。
B.SSH の今後と私学への期待
奈良教育大学名誉教授SSH 生徒研究発表会審査委員長
重松 敬一 氏
立命館大学大学院教職研究科准教授
田中 博 氏
立命館中学校・高等学校SSH 推進機構長
武田 菜々子 氏
社会の変化に伴い教育にも変化が求められる中、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校に期待される役割や、私立附属校ならではの特色やネットワークを活かした展開の必要性について解説されました。
C.未来を拓くグローバル教育―小中高大一貫の実践知が導く可能性
立命館大学グローバル教養学部教授
堀江 未来 氏
立命館小学校教頭
三ツ木 由佳 氏
立命館中学校・高等学校グローバル教育部
中西 美佐 氏
立命館小学校の事例や実際の児童の声、さらに小中高連携を活かした立命館中学校・高等学校の取り組みの紹介を通じて、小中高大一貫のグローバル教育がもたらす実践的な知見とその可能性が示されました。
D.これからの探究学習の実践
立命館宇治中学校・高等学校教諭
酒井 淳平 氏
探究学習の重要性をはじめ、立命館宇治中学校・高等学校において何度も実践と修正を重ねられた探究サイクルの内容や、授業を探究的に進める上で重要となるポイントについて解説されました。
E.次世代型多目的ラボ「MiLABO」で考える探究学習
立命館中学校・高等学校STEAM 教育部長
小林 誠 氏
立命館中学校・高等学校の次世代型多目的ラボ「MiLABO」の実践事例を紹介した後、授業改善や学びにさらに活かすための具体的な活用アイデアについて意見を出し合うワークが行われました。



分科会では、白熱したグループワークや、テーマを真剣に捉えてメモを取りながら講義を聞く姿、意見を深め合いながら活発に情報交換する様子などが見られました。分科会や参加者によって学びの内容はさまざまでしたが、それぞれが有意義な学びを得られる場となりました。

実施連盟会長の長屋頼子氏、立命館中学校・高等学校 校長の東谷保裕氏より、「自分たちだけではできないことも、他の学校と協力すれば実現できる。私立附属校が力を合わせることで、教育をよりよいものにできる」という2日間のサミットの総括と感想をいただきました。
さらに、次年度の会場校である早稲田大学本庄高等学院 学院長の半田亨氏からは、「私立附属校は、その特色ある教育を通して日本の教育を切り拓いていく存在である」というメッセージが寄せられました。こうして、第30回附属校サミットは閉会し、次年度のサミットに向けて期待をつなぎました。